今回は最新のフィラメントドライヤー4機種を実際に揃えて、それぞれの特徴や、利点欠点をすべてみなさんにシェアしたいと思います。
最近は保管機能がトレンドのようで、保管用に湿度を適切に保ってくれる低湿機能がある機種や、保管用に取り外しができるものなど、それぞれに特色があります。
それぞれの特徴を知ってみなさんにマッチするフィラメントドライヤーを見つけていきましょう。
もくじ
動画で確認したい方はこちら↓↓
2024最新4機種比較!トレンドは調湿機能?フィラメントドライヤーを温度&湿度変化&電気代まで検証してみた// FilaDryer S4, Polyphemus, PolyDryer,Space Pi
実際に使った人間による評価なので信頼できる評価!
どうもかけるです。
今日は、フィラメントドライヤー4機種最新のものを用意しております。
それぞれ、大きいものからコンパクトなものまで、見るからに多種多様ですね。
今日はそれぞれの機種について、様々な特徴や特色をみなさんにシェアしながら、保管してる時の湿度の変化の測定結果や温度の測定結果をシェアしていきます!最新機種のどれが一番みなさんに合うのか判断できる情報をお届けしたいと思います。
フィラメントドライヤーって必要?
特に日本はこれから梅雨がきて夏が来ます。
日本は年中湿度が高いので、3Dプリンターに使うフィラメントが湿度の影響を受けて水分を吸ってしまい、劣化したりすることがあります。
フィラメントドライヤーは安い買い物ではないですが、これがあるだけでプリントの失敗を劇的に減らすことができるのでこれを機に購入を検討してみてはいかがでしょうか?
今年は性能がグンッと上がった機種ばかりなので、まだ持っていない人もすでにフィラメントドライヤーをお持ちの人も要チェックな内容になっています。
以前も梅雨の湿気対策を記事にまとめているので、気になる人はコチラもチェック!
梅雨を乗り切れ!! 3Dプリンター の湿気対策 5選 // 予防 → フィラメント 復活まで
フィラメントへの湿度の影響
そもそもフィラメントって水分を吸っちゃったらどうなるの?
3Dプリンターを使っていて、みなさんも経験がある不具合の原因が「フィラメントが水を吸った」ことにある場合が多いです。
加水分解の影響で【糸引きが起きたり】、ホットエンドで樹脂を溶かす時に中の水分が蒸発して気泡ができることがあります。これによって【ベッドの定着が悪くなったり】、【積層間の強度が落ちたり】【ノズルが詰まったり】と色々な不具合が起きることがあります。
引用元 Nature 3D様”PLAフィラメントが吸水すると造形品にどんな影響が出る?”
【射出成形】という「プラスチックを溶かして金型に押し込んで成形する」世界でも、FDM方式の3Dプリンターのフィラメントと同じように、「ペレット」という樹脂の粒は必ず加熱乾燥させて使うのが一般的です。3Dプリンターも同じようにプラスチックを溶かして造形するので、乾燥は非常に重要です。
加熱乾燥でフィラメントの性能が戻るかどうかという話ですが、以前の動画で検証しました。
PLAの樹脂を水に浸してから高温多湿の状態で水を吸わせ、その後に加熱乾燥させたら性能が戻ることを確認しています。今回はその話は省略しますが、気になる人は以前の動画を見てください。
3Dプリンター 吸湿フィラメント の復活方法 / フィラメントドライヤー eSUN eBox 乾燥機 & ホルダー
今回はそれぞれの機種の特徴をアップで写しながら、保管機能のあるものはどれくらいの湿度で維持できるのか湿度計の測定結果を見て比較していきたいと思います。また、内部の温度についても実際の温度測定の結果などを比較していきます。では早速、それぞれの機種を見ていきましょう。
今回比較する4機種は!
まずは、SUNLUの【FilaDryer S4】です。サンステラさんから提供いただきました。
次に、Eibosの【POLYPHEMUS】。こちらはEibosのメーカーさんから直接提供いただきました。
EIBOS公式サイトから直接購入するとAmazonの半額くらいで買えますね。
Polymakerの【PolyDryer】もサンステラさんから提供いただきました。(Polymakerの日本の代理店)
そして最後に、Crealityさんの【Space Pi】。こちらはCrealityのメーカーさんから直接提供いただきました。
この構成で今日はやっていきます。
Crealityさんの【Space Pi】
まず、Crealityさんの【Space Pi】というフィラメントドライヤーを見ていきましょう。
これは一般的なコンパクトなフィラメントドライヤーで、裏側に主電源のスイッチがあります。
主電源を入れた状態で正面のタッチパネルの電源ボタンを長押しすると電源が入ります。コンパクトで扱いやすいマシンです。見た目が特徴的ですね。
Crealityさんは世界で一番シェアを持っている3Dプリンターメーカーです。
最近では、【Ender-3 K1】シリーズや【Ender-3 V3】など、ガンメタっぽいデザインを持つプリンターが増えています。これらの機種とデザインを合わせて親和性を高めたフィラメントドライヤーですね。
価格は9,190円(2024/6現在)で、温度域は70℃まで上げられます。
ちょっと気になる点が、上の部分がSUNLUさんのS2っていうフィラメントドライヤーとデザインが似ているんですね。スモーク感とか模様とかも含めて似ている・・・温度域も同じなので、実際に作ってるのはSUNLUさんなのかな?
今の所、今回紹介している【Space Pi】の方が安いですね。デザインの好みもありますが、価格の面では【Space Pi】を買うのがいいかなという印象です。
液晶が大きくて見やすく、マテリアルプロファイルの種類も豊富ですね。PLAとかPPとかTPUとか入っていて便利です。最近は、Crealityさんがカーボン強化系の材料にも力を入れているので、カーボン強化系の材料を使いたい人にもオススメできるフィラメントドライヤーになっています。
タッチパネルが若干反応が悪いこともありますが、全体的には良いです。
温度域は最低45℃~最高70℃まで1℃ごとに細かく設定でき、ポリアミドなどにも対応しています。
上の取っ手を持って開閉する感じです。
フィラメントを外して中を見てみましょう。
フィラメントはしっかり下にローラーが入っていてその上に乗せる形になります。ベアリングがついているのでスプールの回転への抵抗は少ないです。
熱風が下から出てきて360°熱風が循環して満遍なく乾燥できる機構になっています。
ファンがついているので、ファンの音がするのですが、自分としては実際に使ってみても気にならない程度でした。
フィラメントを通す出口が上についているのですが、出口にフィラメントを通す作業が少しやりづらい印象です。
出口にはPTFEチューブが付けられる形状になっていて、3Dプリンターまでフィラメントを外気にさらさずに供給できるので、すごくいいです!
総評としては、「一般的なフィラメント乾燥機」という印象です。
同様の温度域のフィラメントドライヤーの中では一番手頃な価格になっています。
フィラメント乾燥機をまだ持っていなくて、初めて探している人には、手頃な価格でおすすめです。
気になる方はこちらからチェックしてみてください!
Creality様公式ショップはこちら!
Polymakerの【PolyDryer】
次はPolymakerの【PolyDryer】を見ていきましょう。
この【PolyDryer】はかなりユニークな特徴のあるフィラメントドライヤーなので、早速詳しく解説していきましょう。
Polymakerさんは有名なフィラメント、材料メーカーさんですね。世界的に一番信頼されているフィラメントメーカーさんだと個人的に思っていて、業務用機種でも標準材料として採用されています。
このフィラメントドライヤーの特徴は、乾燥器と保管用容器が分離できることです。
乾燥と保管ができる画期的なシステムで、ボックスのみも購入できる!
2WAYで使えるので、ボックスだけたくさん用意しておくと乾燥させるときだけ乾燥機に設置して、それ以外はボックスだけで密閉できます。
値段は【ボックス乾燥機セット】で13,200円で、【ボックスのみ】で5,499円(2024/6現在)です。
使い方としては、乾燥機で乾燥をさせて、終わったらボックスを外してパッキン付きの脚をつけて密閉して保管します。
そのままボックスだけプリンターのところに持って行って印刷をすることが可能です!
ボックスをたくさん買うっていう時も、そこそこコストがかかってしまいますが、この仕組みは個人的にはよく考えられているなと思っています。
ボックス自体もかなり密閉性が高いので、意外と値段相応なのかなという風には思いますね。
ではボックスから詳しく見ていきましょうか。
まず外観なのですが、食品の保存容器っていう感じの見た目になっていて、シリカゲル、乾燥剤も入るようになっています。
乾燥させた後に保管する時も乾燥剤を使って低湿に中を保つことができるようになっています。
この蓋のところもかなりしっかりゴムのパッキンが入っているので、結構密閉性は高いですね。
フィラメントの出口は前と上のところに2箇所付いていて、それぞれにゴムの栓あるので、ちゃんと密閉性が考えられているなっていうところです。
一つ気になるのが、この蓋がめっちゃ硬い。
結構硬いので、開ける時の操作性がもう少し軽くして欲しかったなっていうところはありますね。でも作りはしっかりしていて、蓋の方にもちゃんとゴムのパッキンが付いています。
中はこんな感じで、スプールを支えるベアリング付きの軸があります。
この軸の動きがちょっと渋いので、もうちょっとここは構造を考えて欲しかったなというところはありますね。改造して軸とかの長さとかを調整してあげれば、結構いい感じになる気がします。
乾燥剤のボックスは前についていて、上に引き出すことができます。
温湿度計は自分は変えてしまいました。
デフォルトでは湿度計しか付いてなかったので、自分は手持ちの温度表示もあるものに交換しました。
ついている湿度計の形としては、汎用的な温湿度計の形なのでそのまま交換できました。
注意としては、温湿度計を取ると箱に穴が開いてしまいます。その箱のところには自分でシリカゲルの袋を破って乾燥剤を入れなければならない。ということで、穴が開いた状態でシリカゲルを入れるとこぼれて大変なことになります。交換する時はシリカゲルを入れる前にやった方がいいですね。
あと、シリカゲルを入れるのがめっちゃ難しい。この一袋でかなり満タン近くまで入るので、慎重に入れないと大変なことになるので注意してください。
また、温湿度計は前側にしか付かないですね。後ろ側にはつけるところがないので、フィラメントの口がある方のみにくっつくという感じになっています。
1kgのスプールの場合はそのままスプールを入れることで使え、500gの小さいスプールを使う場合には付属の軸を差し込むことによって対応することができるという設計になっています。
ちなみに蓋は前後どちらでも閉めることはできるので、上の出口からフィラメントを出す場合は、上のところを反転して向きを変えることが可能です。
そしてフィラメントの出口にはだいぶ太いPTFEチューブが付属しています。これを差し込んでフィラメントをボックスからプリンターまで外気に触れさせずに供給することも可能になっています。
上が付属してきたPTFEチューブです。下の一般的な4mmのPTFEチューブに比べて結構太いPTFEチューブになっていることがわかりますね。
次にこの【PolyDryer】のドライヤー本体の方も見ていきましょうか。
本体上面にステッカーが貼ってあって、この乾燥機の角材料に対する設定の説明ですね。
この【PolyDryer】は3段階の加熱パワーのモードがあります。
1段階目がPLAとかPVBとかの材料を乾燥する際に使います。2段階目がTPUとかPETGとかABSとかの材料に適していて、PowerMAXがPA、ポリアミドとかポリカーボネートとかという材料に対応する設定になっているということがわかりますね。
操作は「押しボタン式」になっています。
他の機種とかを使っている印象としては「タッチパネル式で反応が悪いよりは、物理ボタンの方が個人的には嬉しいかな」と思いますね。
「Mボタン」を押すと出力が1・2・3段階で切り替えることができて、「+と-のボタン」で時間を増減する(30分単位)ことで設定して、「スタートボタン」を押せば勝手に温風が出る・止まるっていうだけで機能します。
かなり単純な操作で使いやすくて分かりやすくていいかなと思います。
乾燥させる時は、ボックスの脚を外して乾燥機本体にはめてオンにするだけ!
中の後ろ側の口から熱風が出て前から吸う、みたいな循環ができるような乾燥の仕方ですね。
(サンステラ様の製品サイトより抜粋より)
この【PolyDryer】のプロモーションムービーでフィラメント乾燥機本体の横に穴が開いてて、そこから水分を含んだ空気が排出されるような説明があったんですよね。
(サンステラ様の製品サイトより抜粋より)
それの仕組みがちょっと気になって分解してみました。
そしたら特に除湿するような機構とか部品が入ってるわけではなかったですね。
ただヒーターとファンが入ってるだけだったので、「どういう仕組みなの?」ってサンステラさんに伺ってみました!
【ヒーティングによって中の温度が上がると中の空気が膨張する。中の圧力が高まるので、その圧力が高まったことによってここから空気が押し出されてくる】っていうような仕組みって説明でした。
総評としては、この【PolyDryer】は、【乾燥器とボックスを分離する】っていう仕組みがとっても面白いと思いました。
なので「色んな場所にフィラメントを持ち運んで使いたい」、「色んなプリンターを同時に使い分けたい」っていう人には乾燥機1個を購入してボックスを必要分購入するだけなので、かなりオススメですね。
通常のフィラメントドライヤーだとフィラメントを移動させて乾燥させながら使いたい時に、フィラメントドライヤーごと持ちあるかないといけないので、本体の電源とかをいちいち抜いて持ち運んで、またコンセントに繋げてという大変さがある・・・
それに対して、ボックス単体でも乾燥剤が入っていて除湿しながらプリンティングもできるので、かなり気軽ですよね。乾燥機本体は動かす必要がない!
1個注意点としては、この【PolyDryer】では、中に入っているシリカゲルの湿気は取れません。
吸湿したら色が変わる系のシリカゲルが入っているのですが・・・(青→ピンク)
ヒーティングでこのシリカゲルの方も復活できたら良かったんですけど、そこまでのパワーはこの【PolyDryer】にはないみたいです。
シリカゲルが吸湿してきたら、別途電子レンジとかオーブンとかで低温で乾燥させてあげる必要があるというところが注意かなという風に思います。
実際に吸湿してピンク色に色が変わったものをマックスのパワーで8時間ぐらいやったのですが、復活しませんでした。
Eibosの【POLYPHEMUS】
次はEibosの【POLYPHEMUS】っていうフィラメントドライヤー。
これも最新のものになります。Eibosさんはプリンターメーカーというよりは、3Dプリンターの周辺機器とかを作られてるメーカーさんです。結構知っている方も多いんじゃないかなと思います。
前からフィラメント乾燥機は作っていて、前の製品は【サイクロプス】という名前でフィラメントが2巻入るフィラメントドライヤーが出ていました。
それの後継機なのかアップグレード機というところで、【POLYPHEMUS】というものが今回出てきたというところです。
EIBOS公式サイトから直接購入するとAmazonの半額くらいで買えますね。
【POLYPHEMUS】の名前の「ポリフェムス」ってのは、ギリシャ神話に登場する一つ目の巨人、サイクロプスの長の名前らしくて、前の機種が【サイクロプス】だったので、それをアップグレード機ということで、その巨人のサイクロプスの長の名前が採用されたのかな?というところです。
一言で簡単に【POLYPHEMUS】というフィラメントドライヤーを説明してしまうと、「フィラメントが2巻入る」「保存用の調湿機能とドライヤー機能の2wayで使える」フィラメント乾燥機です。
3kgのスプールにも対応していて、蓋のところに付属でついてくる下駄を履かせたケースをセットするだけで1巻入れることもできるようになっています。
「調湿機能」っていうのは、「保管用の中をずっと適切な湿度に保ってくれる機能」ですね。
「加熱乾燥」もできるという高機能なフィラメントドライヤーとなっています。なのでちょっと高価なものになっています。
EIBOS公式サイトから直接購入するとAmazonの半額くらいで買えますね。
上のカバーの部分は組み立て式なので、組み立てが面倒くさいです。かなり高機能で、自分は結構気に入っている機種です。
上から見ると、空気穴を閉じたり開いたりできるパーツが付いていて、乾燥させる時はちょっと開けて中の空気を逃がすような形にして使用するようです。
フィラメントの出口は、後ろに3つ付いています。
それぞれの出口にはゴムのキャップが付いていて、開け閉めできるような形になっています。
上から出す方法以外にも、ちょっと分かりづらいのですが、スリットが前に3つ、後ろに3つあります。
フィラメントを前や後ろから出すことができるような形になってます。
もちろん上のところはPTFEチューブをちゃんと差し込めるようにもなっているので、PTFEでプリンターまでフィラメントを導くこともできる。
後ろのところに乾燥剤を入れるボックスも付いています。
設定した湿度にヒーターとかを使って維持する調湿機能も活用しつつ、乾燥剤も使ってハイブリッドで中を乾燥させることもできます!
軸は、ベアリングだけでなくモーターも付いてます。
これは乾燥させる時に、360°回転させながら満遍なく熱を加えて乾燥させるためです。
これはこれでちょっと面白いですよね。
もちろん回転は止めることもできます。なのでプリンターに繋いで印刷する時は止めておきます。
回転してしまうと、引っ張られてしまうので、回転止めて乾燥させながらプリントする。乾燥だけ使いたいよっという時は回してあげて満遍なく熱を加えて乾燥させるという使い方になるのかな。
操作に関しては、物理ボタンになってます。「電源ボタン」を押すと電源がついて、「歯車ボタン」を押すと温度設定ができます。最低20℃~最高70℃まで設定できます。
もう1回「歯車ボタン」を押すと中のファンの強さを3段階で切り替えることができます。
もう1回押すと時間が30分ごとに設定できます。
「リストボタン」を押してあげると、材料の名前が点滅します。それぞれの材料に対するプロファイルがあって選択できます。
PLA、ABS、PA(ポリアミド)、PC(ポリカーボネート)、PETG、ASA、PVA、TPU、PPが選択できる材料になってますね。
それ以外にM1、M2、M3というものが選択できるようになっています。これはマニュアルで自分の設定を保存しておくことができるものになっています。
これだけの種類のプロファイルが入っていることはかなりいいポイントですね。
何より注目の機能が、この電源ボタンもう1回押すと、液晶の画面が湿度設定のみになるんですよね。
相対湿度が設定できます。
今は10%になっていますけど、ここも切り替えることができて、一番下が10%から20%、30%、40%、50%っていうことで、保管モードに簡単に切り替えることができます。
電源を1回押すと加熱乾燥モードになって、2回押すと保管モードになって、設定した湿度で中をずっと保ってくれる調湿機能もある!
保ち方としては、湿度が上がってきたらヒーターオンにして湿度を下げます。湿度が一定まで下がったらヒーターをオフにする。それを繰り返すようなモードになるんです。
【POLYPHEMUS】1台で保管用のボックスとしても使えるというポイントがいいなと思ってます。
結構この機能はお気に入りです。
実際に調湿機能を使って湿度管理が実際どのようにされるのか、測定してきました!
結果を見ていきましょう。
結果がこちらです。
目標湿度20%で動かした時には、中の温度(オレンジの線)が30℃ぐらいで上がったり下がったり、ヒーターがオンになったりオフになったりを繰り返す。
次、設定を変更して目標湿度を10%にすると温度(オレンジの線)が45℃ぐらいまで温度上がりますね。
湿度の結果(青色の線)だけを抜き出すと、目標湿度が20%の時、中の実際の湿度は30%ぐらい。目標湿度を10%まで下げると実際の湿度は18%ぐらいまで湿度が下がるという結果でした。
できるだけ低湿度を保ちたいので、目標湿度は10%ぐらいに設定したいのですが、そこには落とし穴が・・・
【POLYPHEMUS】を実際に使用している際の消費電力を測ってみました。
保管モードは、開始から大体60分ぐらいで安定し始めるので、余裕を見て開始から180分(3時間後)から1時間の消費電力を測ってみました。
その結果がこちらです。1時間で0.03KWh消費電力量が増えています。
最近の電気代の高騰を受けて、最近31円/kWhに目安の単価が増えているので、この31円/kWhで計算してみます。
保管モードの目標設定湿度10%の最大パワーで連続稼働させた時は、1日に22.3円、月に669.6円の電気代がかかってしまう。
そこそこ電気代がかかってしまうというところは注意しなきゃいけないポイントですね。
なので、個人的にはフィラメントは普段は防湿袋などで保管しておいて、特に湿度とかの影響を受けやすいPETGやポリアミドPA(ナイロン)などを印刷する時に取り出してきて【POLYPHEMUS】の調湿モードを使うっという運用がいいんじゃないかなと思います。
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というところで【POLYPHEMUS】の総評としては、クリアなショーケースのような見た目のフィラメントドライヤーってことで、個人的にデザインも好みで、2巻入る割には結構コンパクトで場所も取らないし、値段がちょっと高いとかそういうデメリットはあるんですけど、結構お勧めできる機種になってますね。
気になる人はEIBOS公式サイトから直接購入するとAmazonの半額くらいで買えますのでどちらからでもチェックしてみてください。
SUNLUの【FilaDryer S4】
最後、SUNLUさんの【FilaDryer S4】というフィラメントドライヤーになります。
【FilaDryer S4】もかなり多機能で、中に1kgのフィラメントが4巻入る、結構大きなマシンになっております。
加熱乾燥だけじゃなくて、さっきの【POLYPHEMUS】と同様に調湿機能(中の湿度を設定した湿度でずっと維持できるっていう機能)もあって、かなり多機能でおすすめな機種になってます。
裏に主電源があるので、これをオンにしてあげるとメインの電源が入ります。
液晶タッチパネルのスイッチボタンを押してあげると電源が入って加熱が開始されるっていうようなものになってます。
この【FilaDryer S4】の裏側をみると「電気用品安全法」っていう「PSEの認証」マークがあります。
そこにサンステラさんの文字が一緒に表記されています。
この表記になっているということは、サンステラさんが独自に「PSEの認証」を取っているということですね。
サンステラさん以外で輸入販売されているものは本当は日本では使えないです。購入する方はぜひサンステラさんから購入いただけたらと思ってます。
PSE認証も通ってるし、PTC(正温度係数)サーミスタっていう温度計みたいのが入っていて、温度が上がりすぎたら自動で電源が落ちるようになっています。温度スイッチも温度のリアルタイム監視機能もついていて、安全安心な製品として、サンステラさんとしてはアピールされてましたね。
いいポイントなんじゃないかなと思います。
外観から見てもらいましょう。
上のドアが真ん中が蝶番になっていて、両側で開く形になってるので、上からスプールを左右2個ずつ計4巻入る感じになっています。
フィラメントの出口としては、上のところにワンタッチ継ぎ手が2箇所あるのと、側面にもワンタッチ継ぎ手が2つ、右左両方についているので、ここからPTFEチューブを使って導くこともできるし、チューブを使わずに出すこともできるようになっています。
蓋にはラッチがあるので、ラッチをスライドさせて開けるのですが、ラッチがちょっと小さくて開けづらいです。
【FilaDryer S4】のレバーを大きくする部品が公開されているので、扱いやすさを向上させたい人はそういう部品を使ってみてもいいかもしれません。
中には、ベアリング付きの軸があり、そこにスプールを乗せる感じになります。
ファンが付いていて、そこから熱風が出るようになっています。
この機械も乾燥剤のポケットが付いているので、ヒーターでの調湿だけでなく、乾燥剤も使ってハイブリッドで中を低湿度に保つことができます。
1kgのスプールを2巻入れるとこういう感じです。
これが右と左2巻ずつで計4巻が入ります。オプションのパーツのモデルデータが公開されていて、それを印刷して取り付けると3kgのスプールも扱うことができるみたいです。モデルのデータも無料で公開されているので、そこも【FilaDryer S4】のいいポイントですね。
(サンステラ様公式製品サイトより抜粋)
フィラメントを入れるとこういう感じです。
SUNLUさんのフィラメントが手元にないので、OVERTUREのフィラメントを使用していますが、前側はスケルトンのスモークブラックになっていて、中にどのフィラメントが入っているか目視できるようになっています。
裏側はただの黒なので見えませんが、前側はちゃんと確認できます。
操作性についてですね。
「電源ボタン」を押すと電源がついて、2回タップするとオフになります。
バックライトもついていて、見やすいです。
「セットボタン」を押すと設定したい数値が点滅します。1回タップするとSV(目標の温度)が点滅するので、上下ボタンで温度設定が1℃ごとに可能です。最大は70度まで設定できるので、いろんなフィラメントに対応できます。
もう1回「セットボタン」をタップすると「℃」のところが点滅し、摂氏と華氏の選択ができます。
基本は摂氏でいいでしょう。
次にもう1回「セットボタン」をタップすると「SUNLUのロゴ」が点滅して、LEDのパターンが変わります。通常は真ん中から外側に光が流れていますが、消したり左から右に流れたりいろいろいじれます。
最後にもう1回「セットボタン」を押すと、PLAのところが点滅し、上を押すといろんなプロファイルが選択できます。PETGとかTPU、ABS、PA(ポリアミド)、PC(ポリカーボネート)など色々入っていて、いいポイントですね。
もう1回「セットボタン」を押すと時間の設定ができます。
最短は1時間からで、最大が99時間まで設定できます。99時間やる人はあまりいないと思いますが、時間設定が1時間単位でできます。
もう1回押すと、この「RH」のパーセンテージが点滅します。
これは次のモードの設定で使うので1回飛ばして、もう1回押すと「MO」が点滅します。
これには「1」と「2」があって、「1」は「乾燥モード」になります。
設定した時間が0になるとそのままオフになります。
モード「2」にすると、乾燥が終わった後に「調湿モード」、つまり中を低湿度に保つモードに移行します。
そのモード「2」の時に、さっき点滅していた「RH」のパーセンテージの設定が効いてきます。
今は30%ですが、「RH」を上下に設定できます。基本的には30%でいいと思います。
中の湿度が30%まで上がったらヒーターがオンになり、25%まで下がったらオフになるという繰り返しです。
パーセンテージを上げると、中の湿度が設定値に達したらヒーターがオンになります。
オフになる湿度は固定で25%です。設定モードに入ってない時は、液晶には中の湿度を表すリアルタイム値が表示されます。設定モードだと調湿のヒーターオンのトリガーになる湿度が表示されます。
ここまで使いやすい【FilaDryer S4】ですが、1っ点だけより使いやすくしてほしかったポイントがあります。
タイマーの設定が最低1時間で、0時間ができないことです。「調湿モード」だけでは使えず、必ず1時間は加熱乾燥させてから調湿モードに移行します。
この点はもう少し改善してほしかったですが、1時間加熱すれば調湿モードに移行するので、調湿モードと加熱乾燥モードの両方が使えるのは良いと思います。
ほかに伝えておきたいポイントとしては、この4巻のフィラメントが入るので、かなり大きな筐体です。ヒーターがFilaDryer S2(一巻のもの)よりもかなり強力で、6.9倍強力です。
350Wのヒーターが入っているので、加熱も早くなっています。
(サンステラ公式より)
【Bambu Lab A1】と組み合わせると最強!
【FilaDryer S4】はフィラメントが4巻入るということなので、今人気の【Bambu Lab A1】シリーズで使うフィラメントが全部入ります。
【Bambu Lab A1】のAMS Liteは、4種類のフィラメントを切り替える装置です。フィラメントが露出しているので湿度が気になります。このAMSに装着できるフィラメント数が4巻なので、【FilaDryer S4】にすべてのフィラメントを入れてAMS Liteを取り付けることができるのです。
(Bambu Lab公式より)
【Bambu Lab A1mini】のレビューの時に、実際に【FilaDryer S4】にフィラメントを収納した状態で上にAMS Liteを乗せてPTFEチューブでつなげて印刷してみました。
結果、普通に全く問題なく使えました。
【Bambu Lab A1】シリーズは、他のX1シリーズや【Bambu Lab P1s】シリーズと違い、カラーチェンジの時のフィラメントの引き抜き量が短くて済む設計です。
カラーチェンジの時は、ヘッドのノズルから約10cm(100mm)ぐらいしか引き抜かない設計です。
AMS Liteは、この100mmぐらいの引き抜き量のたるみを吸収するためのバネの巻き戻し機能が付いています。
では、そんな巻き戻し機能がついていない【FilaDryer S4】との組み合わせだとどうなのかというところですが、100mmぐらいの引き抜き量だったらAMS Liteと【FilaDryer S4】のフィラメントドライヤーの間のループでこと足りてしまうので、普通に組み合わせて使用することが可能です。
この結果は結構嬉しい方が多いんじゃないでしょうか。
1つ懸念としては、PTFEチューブがちょっと短いので、プリンターの方にAMS Liteが引っ張られて倒れそうになるということがあります。
この対策としては、PTFEチューブをもう少し長いものに交換するか、プリンター自体を持ち上げてAMS Liteと同じ高さにするなどの方法であります。ほぼ改造なしで使うならそういう対応がいいんじゃないかなと思います。
ただ、やっぱりスペースを取りますよね。改造しても小スペースで運用したいという方は、ぺんほりさんみたいな改造をするのがいいと思います。
ぺんほりさんの投稿から引用
ぺんほりさんは旧Twitter(現在X)上で、自身で作られた作品などを投稿されている方です。今回は許可を得て引用させていただいています。
【Bambu Lab A1mini】のレビューの時にも言いましたが、AMS Liteの心臓部は上の方に固まっているので、それだけ抜き出すとかなり省スペースになります。
ぺんほりさんは実際にそれを実践されており、その内容も楽しく拝見させていただいていました。
ついにAMS Liteを小型化するパーツの公開もされているので、ぜひ参考にして小型化AMS Liteと【FilaDryer S4】の組み合わせも色々試していただけたらと思います。
それでは【FilaDryer S4】についても湿度と温度の測定結果を見ていきましょう。
この機種は保管モードに移行する前に1時間必ず乾燥させなければいけないので、それを含めた温度と湿度の測定結果です。
保管モードのトリガーは30%で、最も低湿になる設定になっています。
保管モードとしては起動してから120分後ぐらいから安定して動作し始めます。
オレンジ色のグラフの温度の測定結果は、だいたい30℃~35℃以内ぐらいでずっとキープされています。
オレンジ色の温度の測定結果はヒーターの電源が入ったりオフになったりするのが分かるような振動が見られますが、濃い青の湿度の結果はずっと25%ぐらいで、振動は見えません。
これはSwitchBotの温湿度計の湿度の反応速度があまり高くないため、そこに埋もれてしまったのかと思います。
でも、25%ぐらいで低湿に保ってくれているというところが分かると思います。
では消費電力も見ていきましょうか。
保管モードが安定して動作し始めるのが120分後ぐらいなので、少し余裕を見て180分(3時間)後から1時間の消費電力を測定してみました。
結果は1時間で0.09kWhです。
そこから計算すると、1日ずっと連続で使った場合は1日あたり66.99円になります。
一か月あたりで2000円を超えてしまうので、なかなか高くてずっとは使えないですね。
【POLYPHEMUS】と同様に、湿度の影響を受けやすいフィラメントを使用する時には、保管モードを使うのがいいんじゃないかと思います。
最高温度の比較結果
では、最後に4機種それぞれフルパワーで乾燥モードを起動させた時の最高温度の比較をやって終わりにしていきましょう。
測定は熱電対で行い、それぞれのマシンのフィラメントを入れる部分の中心ぐらいを狙って温度を測定していきます。
温度設定は【PolyDryer】が最大設定の「3」。他のフィラメントドライヤーは全て70℃設定でヒーティングを開始しました。1分ごとのタイムラプスをそれぞれプロットしていった結果がこれです。
【POLYPHEMUS】の熱電対だけ最後の方の計測結果が、接触不良で取れていなかったので途中までの結果なんですが、まあ大体取れていたので良いでしょう。
室温はスタートの数値で分かると思うんですが、大体26℃ぐらいの環境での結果です。
黒破線で示している【POLYPHEMUS】以外のフィラメントドライヤーは、どれも最初の5分~10分ぐらいで最高温度まで一気に上がりますね。
【POLYPHEMUS】だけちょっと緩やかで、最高温度に達するまでに20分ぐらいかかっています。
最高温度としては、緑色線で示しているSUNLUの【FilaDryer S4】が一番ヒーターが強いようで最高温度が高くて、70℃を超えるぐらいまでちゃんとヒーティングできていますね。
なので乾燥性能としてはSUNLUの【FilaDryer S4】が一番良さそうですね。
次点で【POLYPHEMUS】とCrealityの【Space Pi】。この2機種それぞれ70℃設定で70℃より少し下回る65℃ぐらいまで上がっているという状態ですね。いいと思います。
一方、水色のPolymakerの【PolyDryer】はパワーレベルMAXの「3」でも55℃ぐらいまでしか上がっていないので、ちょっと乾燥性能は低めなのかなというところですね。
【PolyDryer】でも、PLAとかPETGとかABSぐらいだったら問題なく使えると思います。PAとかだともう少し温度が高い方がいいかなとは思います。
4機種に対する総評
フィラメントドライヤー4機種見てきました。お気に入りになりそうな機種は見つかりましたか?
総評としては、低価格で一般的なフィラメントドライヤーが欲しい人はCrealityの【Space Pi】。
3Dプリンターを複数台持ちで、いろんなところで低湿な状態で印刷をかけたいという人はPolymakerの【PolyDryer】がいいんじゃないでしょうか。
4巻まではいらないけど2巻欲しいとか、保管機能もあってその保管機能の消費電力とか乾燥のパワーとかもバランスが良い、そういうバランス重視の機種が欲しいという人はEIBOSさんの【POLYPHEMUS】。
乾燥機能のパワー重視、そして4巻入りが欲しい、【Bambu Lab A1mini】シリーズのAMS Liteとも一緒に使いたいという方はSUNLUの【FilaDryer S4】がいいと思います。
ということで、皆さんも自分に合ったフィラメントドライヤーを購入してみてください。
今日はこんなところで、じゃまた。
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