【TPU完全ガイド】ボーデンNeo & ダイレクトS1で使いこなしのコツをすべて公開!

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どうも、かけるです。

今日は、皆さんも使われたことある方も多いかと思います。

TPUっていう素材

結構安くて手軽に始められる特徴的な素材っていう感じ。

造形にはコツが必要だったり、ちょっとハードルが高くて

まだ始められてないっていう方もいらっしゃると思う。。。

なので、今回は造形のコツっていうところで、プラットフォームの話をしていきます。

ボーデン式とダイレクト式のそれぞれの3Dプリンターで造形したサンプルを用意しています。

一般的にTPUの造形に適していると言われているダイレクト式のサンプルと

無理やり造形したボーデン式のサンプルも比較して、

プリント設定の話もしていきます。

TPUをプリントしたことない方は、読みながら実際に

『どういう感じのプリントができるのか』っていうところをイメージしていただいて、

今後チャレンジするにあたって、設定のところを参考にしていただけたらと思います

動画で確認したい方はコチラ↓↓↓

【TPU完全ガイド】ボーデンNeo & ダイレクトS1で使いこなしのコツをすべて公開! // Ender 3 Creality

造形サンプル

サンプルを見ながらTPUの特徴っていうところを話していきましょう。

まずダイレクト式で作った【やる木くん】です。

本家のクラフトさんは、木で作るんですけど

今回はゴムっぽいTPU、柔らか素材で作ってみました。

本家の木のやる木くんよりも、やる気ない(笑)

これがダイレクト式のサンプルですね。

タイヤもダイレクト式で出力しました。

押すとこんな感じで凹みます。


ちゃんとタイヤっぽく機能していますね。

このモルカーが一般的に『TPUとかの柔らかい素材が苦手』って言われてる

ボーデン式のプリンターで刷ったサンプルですね。

これは結構前にFlashforgeのAdventurer3で作ったものです。

ボーデン式って呼ばれている方式、

どういう方式かと言うと、押し出すところと樹脂を溶かすところが離れていて

管でつながってるっていうタイプですね。

(https://3dprinting.com/)

同じボーデン式のEnder 3 V2 Neoで刷ったモデルも、意外といい感じに刷れました。

ボーデン式のプリンターでTPUって刷れないと思っている方も結構いると思うんですけど

実際に造形してみた印象としては、綺麗に仕上がってるんじゃないかなって思います。


ベンチーについては後でしっかり見てみましょう。

ここまでのサンプルでダイレクト式でもボーデン式でも

どちらの方式の3Dプリンターを使ってもTPUの造形はできるっていうことを

わかっていただけたかと思います。

普段、3Dプリンターで使っている材料の90%くらいはPLAです。

皆さんも概ねそうだと思います。

PLAを使っていて、次にどういう素材に手を出そうかなってなると、

強度とか耐熱っていうところを目指してPC(ポリカ)とかPET(ペット)とか使ってみたりするかと思います。

透明はFFF(FDM)機でもできる!PETG造形完全ガイド // やっちゃいけないこと-コツ-クリア造形まで

https://kakeru-cobo.com/?p=5772

それか、TPU系の柔らかい材料に手出してみようかなっていう方も結構いらっしゃると思います。

っていうことで、その選択肢の一つとしてTPUを考えてみていただけたらいいかなと思います。

TPUの特徴

印刷設定の話をする前に、TPUの特徴を話していきます。

『どんな樹脂なのか』っていうところを説明しちゃう。

【TPU】って言うんですけど、日本語で言うと【熱可塑性ポリウレタン樹脂】。

『熱可塑性』っていうのは、『温度を上げると柔らかくなって、冷やすとまた固まる。それが何度でもできるよ

っていうような特性のことです。

そんな『ポリウレタン』っていう感じですね。

特徴としては、さっき話したんですけど『柔らかい造形ができる』っていうところですね。

握りつぶしても元の形に戻るコップとか作ってみました。

コップであったりとかフィギュアとか、タイヤも作れちゃいます。

硬いものではなく、柔らかい造形ができるので作品の幅が広がる

っていう意味でもいいんじゃないかなと思ってます。

質感は、一応タイヤとして使えはするのですが、結構滑る。

なので、グリップ力はないっていう感じですね。

例えるとソフトビニール人形的な質感ですね。

ツルツルというかスベスベというか『ビニール』っていう感じの質感になりますね。

グリップ力が欲しいっていう人は

前に紹介したこともあるHotty Polymerっていう『TPE』っていう素材ですね。

【最強ゴム素材】Hotty Polymerのスーパーフレキシブルフィラメント徹底検証!

エラストマー系の素材を使うといいんですけど・・・

一般的にTPEは高い。

本当のグリップ感が必要という人はTPE使うしかないのですが、

高いのであんまり最初はお勧めしないかな。

一応安いやつがeSUNからから発売されているのですが、

まだ自分も試してないのでまだおすすめはできないですね。

でも気になる人はちょっと試してみるといいかもしれない。

TPUの弱点

TPUも弱点があります。

一番身近で存在しているものっていうとゴムっぽいスマホのクリアケース。

あれがポリウレタンなんですけど結構黄ばんでるイメージないですかね?

ちょっと作ったモルカーもよく見るとちょっと茶色くなってるんです。。。

紫外線の影響をすごい受けやすいんですよね。

造形した直後は色を塗ってない部分は結構綺麗な白だったんですけど

ちょっと茶ばんできました。

紫外線の影響で黄ばみやすいところがあるので

使うとしたら、黄ばみが目立ちにくい濃い色を選んで使ってください。

といっても、TPUが紫外線に特に弱いっていうだけで

他の樹脂、ABSとかも結構黄ばんでるのを見たことあると思います。

そういう感じで紫外線で劣化したりするので、このTPUだけの問題ではないですね。

他にも車のヘッドライトも黄ばんでるのを見ると思います。

ヘッドライトもポリカですね。ポリカーボネート。

あれも紫外線で黄ばんでる。なので樹脂全般的に日焼けはしてしまうもの。

まあでも、特に少し弱いかなというところありますね。

なんでちょっと保管には要注意です。

あと、ABSとかも暗いところで保管すると黄ばむっていう性質もある。

どこに保管すればいいんですかね(笑)

ということで、TPUを使う際は濃い色の材料を選んで使うのが無難です。

TPUの使いこなしのコツ

実際に造形したべンチーのサンプルを見ながら

TPUの使いこなしっていうところを話していきたいと思います。

おすすめのプラットフォーム

まずはプラットフォームはどんなものがいいのか

っていうところを話したいと思います。

前はプラットフォームにカプトンテープとか呼ばれてるテープを貼って

プリントしたら定着良くなるって話も紹介していたんですけど、

今は断然、PEIのプラットフォームですね!

TPUの造形の時は、ザラザラ系テクスチャードより

ツルツル系のフィルムが貼ってあるプラットフォームの方がおすすめ

磨いてあるとより定着いいですね。

ザラザラ系のプラットフォームだと、そのザラザラの間に材料が入り込んじゃって

取れなくなっちゃったりするので、結構大変。。。

自分はツルツル系のフィルムのPEIを磨いて使っています。

これを使っていればプラットフォームの温度は0℃で

全く加熱しなくてもちゃんと定着してくれるのでかなりオススメです。

寒い地方にお住まいの方だったら、20℃とか25℃とかにしてあげるといいかな。

結構低温でしっかり定着してくれるのでPEIプラットフォームを使っていれば

全く問題ないっていう感じですね。

造形設定

これが、ダイレクト式のプリンターEnder 3 S1で刷ったもの。


造形の詳細を見ていただきながら設定の説明をしようと思います。

これが220℃でインフェル5%、速度40mm/secっていう設定で刷ったものです。

インフェルが5%とかでも結構固めっていうの質感になりますね。

船首のところを押すとこんな感じ。結構固めですね。

5%でも結構硬いので、あんまりインフェルは詰める必要ないかな。

で、同じ220℃で60mm/secで刷ったものが右側。

造形スピードが少し早いですね。

見てわかると思うんですけど、60mm/secの方は結構荒れちゃってる。

自分は、60mm/secくらいでプリントすることが多いですね。

60mm/secが一般的な硬い素材であるPLAを造形するときのスピードなんです。

造形的にオーバーハングのところとかかなり厳しい条件ではあります。

あまり自分はこういうオーバーハングを使うようなモデリングはしないです。

みなさんも可能であれば設計で回避してあげてください。

下のきれいにできている、45°ぐらいまでは使えると思います。

45°ぐらいだったら、60mm/secのスピードでもそこそこ綺麗に造形できます。

自分は、造形の綺麗さというよりはスピード重視でこの条件で造形しちゃうことが多いですね。

やっぱり40mm/secまでスピードを落とすと船首のところは結構綺麗になってきますね。

まあ若干荒れてますけど。

って感じで、綺麗に出したいっていう方は

結構スピードを遅めに30mm/secとか40mm/secとかで設定してあげると良いと思います。

あんまりスピードを落としたくないよっていう人は

そのまま刷っちゃってもいいかなと思いますね。

一応このタイヤも速度を60mm/secで刷ったんです。

内側のところが45°のオーバーハングになってて穴のところだけ若干荒れちゃってるんですけど

他のところは結構許容レベルかなっていうところです。

このクオリティでいいっていう人なら60mm/secでいいと思います。

次の比較。右がホットエンド温度が200℃で、左が220℃。


比べると温度低い方がオーバーハングが荒れてるんですよね。

ちょっと意外な結果。イメージ的には温度高い方が樹脂が柔らかくなって

重力に耐えられなくなって垂れるイメージがあったんですけど

逆で、ちょっと温度高めにしてあげると、荒れがマシになる。

綺麗に出すのであれば

使うフィラメントの推奨設定温度の高めにして

速度はゆっくりというところがいいかなって感じですね。

60mm/secと40mm/secで、両方220℃のベンチーを比較してみましょう。

横がこんな感じ。

やっぱり若干スピードを落とした方が綺麗って感じですね。

糸引きとかもやっぱりダイレクト式っていうところもあって綺麗ですね。

上はこんな感じ。

やっぱりTPUとかの柔らかい素材はダイレクト式が推奨されているだけあって

綺麗に造形できますね。

これがボーデン式のEnder 3 V2 NEOで造形しました。

さっきと比べるとやっぱり糸引きがどうしても出ちゃう。

糸引きはちょっと置いといて、造形としては結構綺麗だと思いません?

意外とボーデン式でも出力できるんだっていう風に思いました。

オーバーハングのところとか、さっき見たEnder 3 S1と比べても

右のEnder 3 V2 Neoの方が断然綺麗っていう感じです。

ただ、このボーデン式のNEOの造形は印刷速度10mm/secでプリントしました。

さっき見ていただいたサンプルのように速度を落とすと

オーバーハングには強くなるので

S1の方も、同じように40mm/secより速度を落としてあげると

同じぐらいのクオリティになります。

なので、糸引きは抜きにすれば

お持ちの3Dプリンターがボーデン式だからって理由で

TPUとかの柔らかい素材を諦めてたって人も今回自分が使ったセッティングで

造形してもらえばきれいにプリントできるので

ぜひ参考にしてみてください!

スライサー設定

じゃあここからはスライサーの画面で説明していきます。

普通のPLAのセッティングだと1時間35分で造形できます。

TPUの設定を解説していきます。

ダイレクト式の場合

まずはダイレクト式のEnder 3 S1の設定からやっていきます。

ダイレクト式の方は結構簡単なのでパパッと紹介していきたいと思います。

いつもやってるスピード重視のプリント。

右上の印刷設定は普通のPLAと同じなのでスライスしても印刷時間は変わりません。

じゃあ何が変わってるのかっていうと

基本的にはリトラクションですね。

あとフィラメントとプラットフォームの温度のところがちょっと変わってる。

Ender 3 S1を買った方だったら、最初にこんな紙入ってたと思うんですけど

これの通りですね。

まずはリトラクションのところ。

引き込みの長さを2mmに設定する。ちょっと長めですね。

今回は、TINMORRYっていうところの黒のTPUのフィラメントを使いました。

このフィラメント、通常の造形温度が200℃~220℃なので

さっきもサンプルを見てもらった通り、温度が高い方がオーバーハングに強くなるので

220℃と高めの温度に設定してます。

ベッドの温度はさっきも説明した通り、0℃でOK。

最後に速度の設定ですね。

スピード重視でやるときはPLAと同じでこんな感じの設定でやってます。

でオーバーハングとかちょっと綺麗めにゆっくりでもいいから出したいっていう時は

ちょっとスピードを落として40mm/secとかそれくらいでやってます。

もうちょっと30mm/secぐらいに落としてもいいかもしれません。

といっても40mm/secのスピードでスライスしても

ベンチで1時間40分ぐらいっていう印刷時間なので早く印刷したいというのがなければ

普通に40mm/secでいいと思います。

ボーデン式の場合

じゃあ次、ボーデン式の設定やっていきましょう。

設定プロファイルはEnder 3 Proになってるんですけど、

普通にEnder 3 V2 NEOでも全く一緒の設定です。

ポイントを最初にまとめて話しちゃうと、リトラクションは全くしない

ゆっくりゆっくり印刷するっていうこと。

まずリトラクションの設定です。

リトラクション0mm。これがさっき見せたベンチーのサンプルの糸引きの原因。

糸引きしてたってよりも糸引きさせてたっていう感じですね。

これはなんでかっていうところを説明していきます。

ボーデン式の仕組みに関係するので図を出して説明しますね。

(https://3dprinting.com/)

左のボーデン式って樹脂を溶かして出したり引っ込めたりするノズルと

送り出したり引っ込めたりっていう操作をするギアが離れた位置にあるんですよね。

イメージとしては、釣り。

操作したい釣り針とか餌とかルアーの位置と実際操作する釣竿が離れた位置にある。

そしてそれをつないでるのがめっちゃ柔らかい糸って呼ばれてるもの。

TPUに近いですよね。

釣りをやったことある人だったらわかると思うんですが

操作している部分からルアーがめっちゃ離れた位置にあるので

そのルアーを10mm右に、とか10mm手前に、とかってめちゃくちゃ難しい。

というか無理じゃないですか。

そんな感じでボーデン式も操作するところから操作したいところが

離れているので細かい微調整が苦手という弱点があります。

なので止めたいところで止められなくて糸引きしちゃう。

垂れちゃったり、1回引き抜いた後に出し始める際にうまく樹脂が出なくて

穴が開いちゃったり、それが繰り返されることによって造形がぐちゃぐちゃになっちゃうんですよね。

なので、リトラクションを付けてもぐしゃぐしゃになるなら、

もうリトラクションしないっていう形で造形してあげることによって

糸引きはたくさん出ちゃうんですけどその代わりに

ちゃんときれいに造形できるっていう感じですね。

穴を開けずに造形できるっていう形になります。

じゃあ最後の設定速度のところ。

速度のところはインフィル以外全部10mm/secにしています。

めちゃくちゃ遅くゆっくりゆっくり印刷してあげる。

これは何でかって言うと、溶けてるとはいえノズルのところから

トロっとした液体を細い穴から出すには、結構力が必要ですよね。

TPUって、フィラメント自体が溶けてない時も結構柔らかいので

それを押し出す力に材料自体が負けて曲がっちゃうんですよね。

それがエクストルーダ、押し出し器のギアの直後などの隙間から座屈して出てきちゃう。

詰まっちゃう原因になるので送りのスピードをゆっくりにしてあげる。

これによってあんまりノズルに力をかけないことで

座屈を防ぎつつ印刷していくっていう形になります。

これがボーデン式のプリンターでTPUを印刷するためのポイントになります。

やっぱり印刷速度落としてるので、かなり印刷時間はかかっちゃうんですけど

それでもちゃんと印刷はできるので

チャレンジしたいっていう方はぜひ参考にしてみていただけるといいかなと思います。

といっても今回見ていただいたサンプルみたいに

結構TPUのモデルって寸胴な形状をしてることが多いので

糸引きとかも内部に隠れてしまったりそもそもリトラクションが少ないので

今回ボーデン式で刷ったサンプルのモルカーとかも結構きれいにできてる。

コップとかも結構綺麗にできてるので、

普通にEnder 3 V2 NEOとかのボーデン式でも全く問題ないかなっていうふうに思ってます。

柔らかいプリント品を作りたいっていう人はぜひ参考にやってみていただけると

嬉しいです、じゃあ今日はこの辺でー

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エンジニア歴10年以上! モノづくりの楽しさをみんなに伝えたい! ねこべやの片隅から3Dモノづくりや猫DIY、お役立ち情報などを 週末の金~日にかけて動画投稿中
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