今日は中国の3DプリントサービスPCBWayの金属プリント品って
どれくらいの精度なの?どれくらいの品質なの?
っていうところをしっかり検証していきたいと思います!
もくじ
動画で確認したい方はコチラ↓↓↓
金属 3Dプリンターの実力は? 回る?ねじ込める? // PCBWay アルミ & ステンレス
PCBWayって知ってる?
どうも、かけるです。
今日はTwitterとかで今話題のPCBWayさんっていう中国の会社のプリントサービスについて調べたい。
PCBWayさんは元は、プリント基板とかの製造から始まってるんです。
最近では、CNCマシニングとか板金とか射出成形とかまで手広くやっていて
データをアップロードするだけでデータ通りに
ものを作って、送ってきてくれるっていうサービスをやっています。
試作サービス的な感じですね!
今回は金属の3Dプリント品の実力を検証!
今回は特にその中で金属の3Dプリント品っていうところが
どれくらいの実力なのか、価格感とかっていうところも含めて
皆さんに紹介したいかなという風に思ってます!
今回用意してるのはアルミとステンレスですね。
他にもチタンとか工具鋼とか鉄系の素材もあるんですけど
今回はこの2種類を使って精度を見ていこうと思います。
本当はチタンもやってみたかったんですけど、高かったので今回は頼まなかった。。。
今度頼んでみようと思うので、「こんなもの印刷したら面白いんじゃないか」
とかあれば、ぜひコメントいただけると嬉しいです。
自分でネタ系のチャンネルもやってるんで
遊び系のチャンネルのネタとしても使えるようなものだったらより嬉しいかな。
実は、このサービス前にも使ったことがあります。
金属以外にもプラスチックとかレジン系とかもあるし
こういう工業用の粉末を溶かして固めて積層していくような
3Dプリント品でよく使われるナイロンとかの材料もあるので
気になる人はページとか飛んで見ていただけたらいいと思います。
透明な部品も作れるよ!
あと透明な部品っていうところも作ってくれる!
前回作ったときの動画も貼っておくので、まだ見てない人はぜひチェックしてみてね。
【実力拝見!】中国の3Dプリントサービスでデカ透明のケースを作ってもらった!設計ポイントも軽く語るw //PCBWay
前回検証した部品の品質もかなりいいので
気になるって言う人はPCBWayさんのページをみてみてね!
動画も見てもらえると嬉しいです。
【PCBWay】中国の3Dプリントサービスでデカ透明のケースを作ってもらった結果
今回造形依頼した材料について
もう少し材料について触れておこうと思います。
今回造形を依頼した2つの材料について!
これは『AlSi10Mg』っていうものですね。
アルミ・シリコン・マグネシウムの合金という感じで
よくダイキャストとか、鋳造とかによく使われるアルミ合金っていう感じですね。
一般的に工業製品によく使われるので強度も6000番台とかと比べると
若干落ちるっていう所はあるんですけど
あんまり変わらないので一般的に機械部品にも使える材料です。
こっちステンレスは『SUS316L』っていうものになってるみたい。
SUS316は元々腐食しにくい材料なんです。
それをノーカーボン化、炭素を抜いてより耐食性を上げて
かつの加工性も上がってるみたいです。
加工硬化が少なくてドリルとかね研磨とか削りとか切削とかが
やりやすいっていう材料になってます。
あと一応細かいところになってくるんですけどオーステナイト系のステンレスなので
磁石にくっつかないステンレスになってます。
今回検証に使うモデル
実際に造形依頼したこのプリント品の精度っていうところが
どの程度なのかっていうところを見てもらおうかなと思います。
まずエンジンモデルはthingiverseでダウンロードできるものです!
そこでダウンロードしたSTLファイルをそのままPCBWayさんのサイトに
ポンってアップロードしました。
見積もりもらってそのまま発注したらこれが届いたって感じです!
このモデルはFDMとかFFF系の熱溶解積層方式のプリンターのテストモデルです。
このモデルうまくプリントするとピストンが回転して動くようになってるんです!
今回のプリントサービス品でも回転可能なのかっていうところも検証しようと思います!
まぁあんまり期待はしてないんですけどね。アルミとステンレスを刷っています。
こっちは自分で設計したテストモデルです。
これの精度も寸法を実際に計測してどんなもんなのか検証していきます!
ネジとかナットとかもちゃんと入るのか確認しましょう。
プリントサービスの価格
まずこの辺アルミは両方とも同じ価格でした。
モデルをサイトにアップロードしたら見積もりがポンって帰ってきました。
アルミのモデルは両方とも39.82ドルでした。
そのときのレート(1ドル=130円くらい)では日本円で5,187円ぐらいだった。
ステンレスが73.92ドルという感じ。やっぱりステンレスの方が高いです。
日本円で9,630円ぐらいという感じですね。
アルミとステンレスの重さの違い
せっかくなので重さも測ってみますね。
ちょっと簡易的なスケールになるんですけどね。
ステンが93g、アルミ32gなので3倍ぐらい違いますね。
そのままアルミとステンの比重の差っていう感じなので
ちゃんとアルミとステンですね。
自作テストモデルの外観
じゃあ実際にテストモデルの外観とかも見つつ比較や計測もしていきたいと思います。
精度っていうところの前に見た目っていうところに見てもらおうかな。
レーザー焼結法による表面形状
アルミのモデルの表面はこんな感じです。
今回依頼したアルミとかステンとかは
レーザー焼結法って言って
粉を一層を敷いてそれをレーザーで溶かして形作ってその上にまた薄く粉を一層敷いて溶かして
を繰り返して造形する方法です。
なので、造形中って材料が粉の状態なんですよね。
その結果として表面がシボ加工っぽくなります。
シボっていうのは、樹脂成型系の用語でテクスチャーぽいやつですね。
身近にもかなりあるので、みなさんのご家庭でも確実に見ることができます。
たまたま近くにあったこのノギスのケースもツルツルの部分とザラザラの部分があります。
プラスチックってそのままツルツル面のみだと安っぽく見えることがあるんですよね。
だから、わざわざ表面をテクスチャーぽくして高級感を出すっていう加工があるんです。
それをシボ加工って言うんです。
なので、これはシボ加工ではないんですが、粉が固まった形状としてこういった見た目になっています。
鋳物の表面にも似てるかな。
裏面も同じ感じですね。
ステンレスのモデルも近くで見るとこんな感じで同じ凹凸があります。
ちょっと粉っぽい感じになってるっていう感じです。
ピカピカの金属光沢っていう感じではないですね。
ダイキャストっぽい感じになってますね。
オーバーハング
ほかに見た目としてわかるところは、まずオーバーハングですね。
どっち方向を下にして積層してるかっていう情報はもらっていないんですけど、
面積が広いところを底面にするのがセオリーなので普通に底面から積層していると思います。
そう仮定した時に、オーバーハングがあまり荒れている様子がない。
すごく綺麗です。
ブリッジ
ブリッチはちょっとだけ変形して膨らんでる。まあでも綺麗にできていると思います。
精度的には自分としては問題ないって感じですね。
細い積み上げ形状
あと3Dプリンティングとして、見た目として気になってモデリングしてみました。
めちゃくちゃ細い角柱の45度と垂直の積み上げ形状。
どれくらいの寸法かっていうと、2mm×2mmの角柱です。
それを積み上げてるって感じですね。
これもすっごく綺麗に造形できてる!
全く問題ないですね。
積層方向のズレとかも全くないし、本当に精度よく積み上がってるっていう印象ですね。
文字の造形
あと見た目のところで、文字を見てみましょう。
7.5ポイントぐらいまでは綺麗に彫り込めてますね。
文字の彫り込みは5ポイントになると厳しいかな。。。
『5pt』って読めないですね。それ以下はちょっと厳しいって感じですね。
7.5ptってどれくらいの大きさかっていうとだいたい規格上は
2.6mm~2.7mmぐらいの高さです。
なので、それくらいだったら綺麗に印刷できるって感じですね。
オーバーハングの文字のところも綺麗に出来てる。
折り込みのところの文字は何ミリぐらいかというと
これが高さ2mmぐらいなので、5.7ポイントとかですね。
ということで、6ポイント以上だったら結構綺麗に読めるぐらいで造形できるっていう感じですね。
2mmぐらいでも数字は結構きれいなんですけど、
アルファベットは結構きついですね。
アルファベットも入れるとなるとやっぱり7ポイントとか7.5ポイント以上あった方がいいかなっていう感じです。
スリット
スリットのところ、1.5mmのスリットも1mmのスリットもめっちゃきれいに造形できてる。
0.5mm幅もつぶれてるけどスリット自体は成り立ってる。
寸法精度については、後で言及するんですけど、形状としてはOKですね。
ねじ形状
見た目のところでネジ形状をモデリングしてみました。
一応ネジもプリントはできてるっぽいんですよね。
でも、ネジの谷部分の彫り込まれてるところに粒子みたいな形状が残ってる。。。
実際にネジとかナットとか組付けてみようと思うんですけど、ちょっと不安。。。
裏面の造形
裏側面に彫り込みを入れてみました。
結構、裏面の彫り込みも綺麗に出来てますね。
たぶん、この面が完全に底面になってプリントされているので
完全に全部ブリッジ形状になると思うんですけど特に荒れてない!
驚きのきれいさですね。彫刻もかなり得意な印象ですね。
ステンレスのモデルの外観
ステンの方(左)はアルミよりもツヤ感が少なくて自分的には好み。
ギアっぽく彫り込まれてるところとかも目の錯覚かもしれないんですけど
若干ステンの方(左)がシャープに見えるんですよ。
なので精度的にはステンレスの方が綺麗に印刷できてるような気がする。
ここの内側六角になってる部分も右のアルミが丸いドーナツに見えるのに対して
左の方がしっかり六角が確認できる。
シャープさをステンレスの方に感じますね。
材料の違いだけで、これだけ造形精度が変わるっていうのはちょっと意外でした。
全く同じモデルで、たぶん同じ3Dプリンターで造形していると思うんですけどね。
寸法精度
ちょっと寸法精度っていうところ行っていきましょう。
じゃあマイクロメーターで測れなかったのでノギスで測っていきます。
モデル寸法10mmのブロック形状
10.10mmですね。0.1mm大きいですね。いい感じじゃないですかね。
こっち方向は、、、
10.08mmだから、大きめにできる傾向にあるのかな。
±0.1には入ってそうな感じです。
モデル寸法Φ10mmの円筒形状
10.04mmですね。
ノギスも先端の方で測定しているのでしっかり測れているわけではないですが、かなりいいですね。
モデル寸法10mmの四角穴形状
これも9.95mm。まあいい感じの寸法ですね。
平面方向の寸法精度は結構いいんじゃないでしょうか。
モデル寸法0.5mmずつの階段形状
じゃあ高さ方向の精度を見ていきましょう。
0.5mmずつの階段のモデルを作ってみました。
これはマイクロメーターで測れますね!
まず一番薄いところがモデル寸法0.5mmですが、0.696mm。
+0.2mmぐらい厚めですね。
やっぱり高さ方向の精度はFDMと一緒で平面方向よりも悪い。
まあでも0.2mmぐらいなら全然いいんじゃないですかね。
次はモデル厚み1mmのところ。
実際の厚みは1.2mmとか1.24mmですね。
やっぱ0.2mmぐらい大きく出来上がります。
最後、4段目のモデル寸法2mmのところ。
2.14mmですので、やっぱり平面方向は±0.1mmぐらいでできています。
かなり精度を良く出ているっていうイメージです。
積み上げの高さ方向はやっぱり
FDMとかFFFとかと一緒でちょっと精度が悪くなって
ちょっと今回大き目に出てましたけど
±0.2mmぐらい想定して設計すればOKですね。
スリット形状
あとスリットのところも見ておきますか。
シックネスゲージを使っていきます。本当は素手で触っちゃだめですよ(笑)
じゃあまず一番細かいところ。
モデル寸法0.5mmのスリットに0.5mmの板が入るか・・・ちょっと入らないね。
やっぱりスリット形状は少し細めにできてますね。
0.4mmの板は入るので、ここも±0.1mmくらいの精度でできてますね。
やっぱり平面方向の造形は精度よくできるっていうな印象通りですね。
ネジモデルにナットは入る?
じゃあネジ形状を見ていきましょう。
まず一番大きいM6から!
ちょっと入るんですけど、これ以上入んない。。。。
何とか入れたいけど、これ以上力を入れたら壊れるわ。
入るかなーと期待してたんですけど、、残念。。
ネジ穴モデルにボルトは入る?
じゃあ次、ネジ穴の方ですね。こっちはいけるかなー。。。
こっちも一応入ってくけど、これ以上入らない。。。
やっぱネジ形状の3Dプリントはちょっときつそうだな。
造形精度としてはそんなところですね。
プラスチックの普通の積層方式プリント品なら
プラスチックの方がネジとかナットより弱いので
無理やり広げて入ってくれるけど金属同士だから厳しいね。
追加工でタップ切ってみよう!
そのままでは入らなかったので、じゃあ加工してみるか!ってことで。
実際部品作る時に下穴的な感じでタップが彫られてたら
加工も楽になるので、仕上げして使えるなら全然助かる!
じゃぁ追加工できるかチャレンジ!
M6でタップ切ってみます。先端はドリルなのですんなり入ります。
ここから力が必要。ちょっとハンディでやっちゃいます。
やっぱり最初に造形の段階でネジが一応切られてるんで、タッピング超楽ですね。
本当に軽い力で加工できました!これは楽だな!
ネジだけ一応モデルに入れておいて追加工がおすすめです!
めっちゃ綺麗でネジもいい感じに入ってくれました。
他のネジ穴も全部仕上げてみました!
これはかなりいいですね。
雄ネジはダイスが家にないのでできなかったけど、同じ要領で追加工すればできるかも!
穴の方だけね仕上げたんですけど、精密ネジのM2まで入って使えているのですごい!
軽い力で仕上げるだけになるので、普通に金属にねじ切るよりも労力をかけずに
いい感じにネジ穴を作ることができました!
こういうネジ穴付きのモデルを作りたいっていう人は参考にしてモデリングしてみてください。
ダイスとかのみんながあまり持ってない工具を使わなきゃいけないので
持っている人だけ参考にしてもらえればOKです!
ギアとか動くかな?
クリアランスを設けてモデリングされているギアとかエンジン気筒が動くのかどうか。
これを確認して終わりにしようかなと思います。
まずこのギア。クリアランス0.1とか0.15で結構きつめに設計しました。
結果としては。。。ちょっときつい。回らないです。
こっちのエンジンモデルも動かないですね。
FFF方式のプリンターでプラスチックで作ったら動いたんですけどね。
ということで、あんまり金属3Dプリンターでアセンブリ、一体化して作るのは
あんまりおすすめしないかなと思いました。
ただ、ステンレスの方は振ると音が鳴るのでちょっと動きそうではありますね!
もしたらもうちょっとクリアランスを大きくして設計してあげれば
動いたかもしれないので、改めてチャレンジしようと思います。
今回はこんな感じで金属3Dプリンターの造形を見てみました。
意外と精度も綺麗に出るし、素材的に金属が使えると強度や耐熱性が必要な部品も作れるようになる。
3Dプリンターならではの形状として中空にしたりとかできるので、かなり設計の幅が広がります!
精度も平面方向は±0.1mmで高さ方向も±0.2mmとかでできるので、考慮して設計してあげれば全然使える。
興味がある人はぜひPCBWayさんのサイトでチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
価格もそんなに高くないし、これは仕事とかでも使えるんじゃないかなと思ってます。
というところで今日はこの辺にしておこうと思います。じゃあまたー
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