どうも、かけるです。
今回はめちゃくちゃ透明な3Dプリント品レンズを作ってみました!
どんな感じで設計したりとかあと板厚を変えて透明度がどんな感じになるのか
サンプルを作ってあるので、それを見ながら解説していきます!
今回のメインは何といっても、【PETG】っていう素材なんですよね。
その使いこなしのコツをわかりやすくまとめて
自分がやってる印刷の設定も無料公開します。
他にも後処理の方法とかの話もしちゃうので
この記事を読み終わったころには、
PETGについて知識的にはマスターできるぐらいの内容を
紹介していこうかなというふうに思ってます。
もくじ
PETGって?
PETGを使ったことある方もいらっしゃると思います!
基本的に一番一般的に使われているPLAよりも耐衝撃性が強い。
耐衝撃性を高めた部品とか作れちゃう!
透明性がかなり強い。透明感を出したい時に使うこともできる。
PETGはそういう材料っていう感じです。
あとPLAだと空気中の水分を吸ったり紫外線で劣化してきちゃう。。。
それに比べて、PETGは安定性があるので
長い時間部品として活躍してもらわなきゃいけない造形品は
結構PETGが使われたりしますね。
Prusa製の3Dプリンターはプリンター自体に3Dプリント品の部品が組み込まれている。
そういう3Dプリント品の材料には結構PETGがよく使われてますね。
ずっと使っていくもの、劣化しちゃうと困るものなのでPETGが使われているって感じですね。
概要はそんな感じなので、もう少し詳しく特徴を説明しますね。
PETGの特徴
まずPETGって何かっていうと、
一般的にペットボトルとかに使われているPETっていう材料の改良版という感じ。
PETは結構ね種類があるんです。A-PETとかC-PETとか色々あるんです。
それぞれちょっと問題があって、そこら辺を改良したものですね。
グリコールっていう物質を加えることによってPETGにしています!
詳しい説明をしちゃいますね。PETにグリコールを加えることで
長期間使っても『内部の構造が結晶化しないようにした』っていうことです。
PETGを日本語で言うと『グリコール編成ポリエチレンテレフタレート』っていいます。
それを略してグリコールの『G』をとって一般的に『PETG』って言われる材料ですね。
PETGの利点と欠点
ちょこちょこ情報が出てきてるんですけど
利点と欠点、弱点をパパッと説明しちゃいます。
利点
利点としては、さっきも言ったんですけど
結晶化しないので透明感があって、色付きのフィラメントでもキラキラ感が出る
そういう感じの見た目に仕上がるというところ!!
透明度の話をしたので、実際のフィラメントも持ってきました。
右がポリカ、左がPETGですね。
今回の造形物は全部eSUNのフィラメントを使ってます。
やっぱりポリカの方が若干、フィラメントの材料自体もくすんでいる感じありますね。
PETGの方は結晶化してないのでかなり透明感もあって、めちゃくちゃクリア!
溶かした後もこのクリア感が維持されるので
『超透明な部品を作りたい』っていう時はやっぱりこのPETGを使うのが一番ですね。
これにかなうフィラメントは今のところないんじゃないかな・・・
他の良い点としては、
結構な高熱にさらしても、例えば燃やしたりしても有毒なガスが発生しなかったり、
かなり安定してる材料なのでペットボトルとかにも使われてる!
そうはいっても、造形物を食器に使うのは自己責任でやっていただきたいんですけど
結構ね安心安全な材料という感じになってますね。
なので印刷中もABSとかと違って有毒なガスが発生しない。
印刷性能も結構良くて、平物とかも反りにくい!
印刷の煩わしさはABSとかと違って結構PLAとかに近いので
あんまり印刷のハードルは高くない感じになってますね。
あとは、耐衝撃性が高いっていうところですね。
PLAとかアクリルとかと比べても耐衝撃性がかなり高い部品になっているので
機械部品にもかなり使える材料です。
PLAだと紫外線の影響を受けやすかったりとか
空気中の水分と反応して加水分解して劣化してきちゃったりするんですけど
そういうのもかなり安定してる材料。
PLAの加水分解については動画はコチラ↓↓↓
真夏3か月で PLA 3Dプリント品 は生分解する?? // 3Dプリンター 観察日記
記事はコチラ↓↓↓
なので経年劣化で性能があんまり変わってこないという特徴がある。
ABSの方が強度も高かったりするのでそっちもいいと思うんですけど
ABSって印刷するときは、エンクロージャーがないとかなり反りやすくて工夫が必要。
あと、印刷中に有毒なガスが発生したりするのでちょっと印刷のハードルが高い材料・・・
それに対して、PETGは有毒なガスも発生しないし、反りもあんまり発生しないので
手軽に使える材料という感じになってます。
欠点、というか弱点
一応ね弱点っていうのもあるんですよね。
前に作ったモデルで若干、傷つけちゃってるんですけど
表面がちょっと柔らかいので傷が付きやすいんですよね。
あと皆さんがこの材料を使って一番気になるところは
糸引きの問題ですね・・・
空気中の水分を吸うと糸引きが顕著に現れる・・・
糸引きやすい材料なので乾燥をしっかりしてあげないといけない材料になってきてますね。
フィラメントの糸引きについてはコチラの動画で詳しく説明しています↓↓↓
3Dプリンター 吸湿フィラメント の復活方法 / フィラメントドライヤー eSUN eBox 乾燥機 & ホルダー
造形クオリティ
一応ここにベンチーを刷ってあるので、
どんな感じのクオリティでできるのかというところを見ていきましょう。
Ender 3 V2 NEOとEnder 3 S1 Proの二機種で刷ってみました。
それぞれどんなクオリティになっているのか詳しく見ていきます。
ボーデン式とダイレクト式、どちらも結構いい感じに刷れました!
若干ね、やっぱりダイレクト式の方が綺麗っていうところはあるんですけど
実際にそこら辺見てもらおうかなというふうに思ってます。
左がボーデン式、Ender 3 V2 NEO。
右がダイレクト式、Ender 3 S1 Pro。
ボーデン式
まずは、Ender 3 V2 NEOから見ていきましょう。
どうですかね?
プリントクオリティは全く問題ないんじゃないですかね。
若干糸引きはあるものの、船首のオーバーハングもかなり綺麗!
操縦席の窓のブリッジも結構ねいい感じにできてますね。
上から見るとこういう感じ。煙突のところもカッチリできてる!
めっちゃいい感じだと思います!
ダイレクト式
次ダイレクト式のEnder 3 S1 Pro。
こっちはやっぱり糸引きっていうところで言えば
ボーデン式よりは綺麗ですけど他のクオリティはそんなに変わらない。
ちょっと粗探しっぽくなっちゃうんですが
船首の碇が落ちる穴の下のところが若干、左のNeoの方がれてるかなー。。
あとは煙突のところとか操縦席のところとか若干Ender 3 V2 Neoの方が筋っぽいかもですね。
並べて比べないとわかんないですね。
そういうレベルでどっちもきれいに印刷できました。
PETGの印刷のコツ
次、印刷のコツとか設定の話。
定着をよくするワンポイントテクニック
定着性を上げるために、マスキングテープとか貼って印刷する人が結構いますよね。
定着性をあげるためのコツで、自分のおすすめは
ザラザラ系PEIプラットフォームにスティックのりを塗りつけるっていう方法です。
おすすめのスティックのりは『シワなしPIT』が一番おすすめ!
やり方としては、印刷前にプラットフォームの造形物ができる部分に塗りたくって
乾く前に一層目が造形開始されるって感じでやっています。
乾いてから造形を開始しても効果はあると思うのですが、
自分の場合は乾かないうちに開始できるタイミングで塗っています。
オートレベリングとか加熱が全部終わって印刷する直前ぐらいに塗るっていうのが
おすすめのタイミングですね。
注意点としては、
糊を最初に塗る場合、生乾きの状態でオートレベリングをしてしまうと
生乾きの糊がセンサーのプローブの先端にくっついてしまう!
なので、最初から塗りたいっていう方は
ちゃんと糊が乾いたことを確認してから印刷開始してください!
定着性向上に関しては、いろんなテクニックがありますが、
個人的にこの方法が一番バッチリ定着してくれる。
ザラザラのテクスチャードのPEIプラットフォームに
糊を塗って造形!っていう方法が一番おすすめです。
PETGの造形で絶対してはいけないこと!
PETGを扱うときに絶対してはいけない落とし穴があります。
光沢のPEIプラットフォームは絶対に使わないでください!
サンステラさんの公式ページにも
ちゃんと注意書きに『PETG等の定着が強硬なフィラメントには使わないでね!』
って書いてあります!
自分も1回、定着が強い材質に光沢のPEIプラットフォームで造形して盛大に失敗しました。
定着が良すぎて、造形物にフィルムがこびりついて
プラットフォームが造形物の底面の形に陥没しちゃった。。。
造形物もダメになるしプラットフォームもダメになる。
かなりダメージが大きい失敗なので、本当にこれだけはやらないようにしましょう。
こうやってPEIを壊した経験があって
フロストの方にその注意書きが書いてなかったので
恐る恐るやってみたのですが、全く糊も貼らずに定着もそこまで強固でなく
ちょうどいい感じだった!
ということで、今はザラザラ系のプラットフォームをおすすめしてます。
サードパーティーのプラットフォームでも普通に使えてるので
どのメーカーのザラザラ系でもいいと思います。
糸引き対策は必須!
じゃあ印刷設定前の最後の注意点。
PETGは、空気中の水分を吸うと糸引きが顕著に現れるフィラメント材料。
なので印刷中にもどんどん空気中の水分吸って
糸引きが発生してきてしまう!
だから印刷中のフィラメントは必ずフィラメントドライヤーとかで乾燥しながら印刷する。
温度は50℃~55℃ぐらいで印刷しています。
もしくは乾燥剤を入れたケースに入れて湿気を吸わせないように印刷する
っていうことを心がけてください。
印刷設定
じゃあ透明のプリントの設定の前に、一般的なPETGプリントの設定を紹介します。
一般的なPETGプリント設定
基本的には温度だけちゃんと注意してもらえれば大丈夫!
プリンターの設定のところのリトラクションも
ダイレクト式だったらだいたい引き込みの長さ0.8mmぐらいでOK。
ボーデン式の場合は5mmぐらい。
普通のPLAと同じぐらいにしておけば大丈夫です。
温度のところは参考値程度に!
eSUNのPETGのフィラメントの
ノズルの温度の推奨温度が230~250℃なので
中間の240℃で設定しています。
プラットフォームは大体PEIと同じですね。
最初70℃と高めで定着させて、あとは60℃で設定しています。
ついでに印刷速度のところも見せちゃう。
これも参考値なんですけど、ここも普段自分がPLAを刷るときと一緒ですね。
だいたい普通の壁とか一般的な外郭を刷るときは60mm/secぐらいのスピードで、
インフィル中身のところを刷るときは100mm/secぐらいでやってます。
透明PETGの印刷設定
じゃ、いよいよ透明PETGのセッティング!
こっちはレンズのモデルで説明していきます。
まずは。どんな感じになるかという完成形を見てもらおうと思います。
スライスすると、こういう感じで造形物の周りに壁を作ることになります!
最初に要点だけパパッとまとめて話しちゃいます。
積層ピッチは0.05でめちゃめちゃ細かくします。
速度をめちゃめちゃゆっくりにして、層と層を一体化させる感じにします。
中身は詰め詰めでかつ、温度を高く積層していく。
これがポイントのすべてです。
積層ピッチは0.05で薄く薄くすることによって
プリントして固まった層のすぐ上をまた熱いヘッドが移動することによって
1回固まったものをもう1回溶かして強固にします。
イメージとしてはもう1回溶かしつつ、新しい溶けたフィラメント薄く伸ばすこと
によって一度プリントした層と新しくプリントした層を一体化させていく感じ!
なのでヘッドの温度は使うフィラメントの上限温度に設定します。
なので上限の250℃。通常よりも高い温度に設定してます。
固まる速度もできるだけゆっくりにしたいので
ベッドの温度も高めに設定しています。
次に速度設定ですね。
速度設定は上から下まで全部10mm/secにしてます。
あんまり早くヘッドを動かしてしまうと、1回刷った層が溶ける前に
ヘッドっていう熱いものが移動していってしまうので
もう1回プリントした層を溶かすことができなくなってしまう。
熱をしっかり前印刷した層にも伝えるためにゆっくり印刷します。
インフェルのところもちろん100%。隙間なしで全部プラスチックで埋めるイメージ。
次に重要なのが、フィラメント設定のフローのところの射出率。
1.0が理想的な樹脂の押し出しの割合なんですが、
だいたい15%~20%ぐらい多めに出します。
ネットの記事だと8%ぐらい多めに出すっていう人もいました。
自分の経験上、もうちょっと多めに出した方がいいかなと思いました。
っていうことで、15%~20%ぐらい多めに出すっていう感じでやってます。
ここら辺も使うプリンターとかにもよるので
使うプリンターに合わせて調整してやってみてください。
多めに出すことによって、
塗りつぶす線と線の間をPETGで満たしていくっていう感じになります。
重要な最後のポイントとしては、
壁を作るっていうところですね。
保護シールドっていうところをちゃんとね有効にしてあげる。
下から上まで壁を作る。
下から上まで有効にしないとこんな壁立たないんです。
有効にすると壁を下から上まで作ってくれる。
この設定、本来はABSとかの反り対策で保温するために使うんですが
今回もゆっくりゆっくり固めていきたいので保温効果のある壁を作ったりとか
あとPETGの特性として糸引きするし、
そして今回設定で造形するとドバドバ樹脂を押し出すのでより糸引きするんですよね。
保護シールドをつけると糸を引きしてダマっぽくなった樹脂が
シールドにこびりついてくれて造形したモデルにこびりつきにくくなります。
糸引きのダマが造形物に全くつかないっていうわけではないんですが
かなり軽減されるのでシールドを設定してあげるというポイントをおすすめしておきます。
後で実際に見ていただくのですが、そのダマが塊になって造形物にくっついちゃうと
その後処理のヤスリがけがとっても大変になる。。。
なので、この壁を作る設定は必ずやることをお勧めします!
他の人のオススメ設定として外壁の設定で境界線をめちゃくちゃ多くして
モデル全部外郭にしちゃうっていう設定があるんです。
モデルの中を外壁として塗りつぶすことで滑らかにしたいっていう設定なんですけど、
実際に設定してみました。拡大してみるとわかるんですけど
折り返しの部分に結構隙間空いて、フローを多くしても塗りつぶせない隙間ができました。
結果として外観が悪くなってしまうので個人的には、やらない方いいかなと思ってます。
四角形のモデルなら効果があるかもしれないですが、
今回造形したようなレンズとかの鋭角なエッジ形状では
普通の塗りつぶしの方がいいかなと実際にモデルを見たらわかりました。
0.5mmピッチで厚みを変えていった階段状のモデル
これ3.5mmの厚みからインフェルのパターンが発生してるんです。
でも全体的にそんなに透明度が変わらないんですよね。
レンズのモデル
左の方磨きが甘いのは見逃してほしいです。
左がジグザグのモデルで、右が全部外郭にしたモデル。
鋭角のところに空間ができちゃってそこだけ透明度が全然違います。
インフェルを普通に充填した設定が一番かなっていうふうに思います。
レジンの比較
ついでにレジンのサンプルも手元にあったので比較してみました。
右一番がSK本舗さんの水洗いレジン。
で右から二番目が高透明度レジン。
結構、高透明度レジンと色味もあんまり変わらずに、かなり透明度も高い!
FDM機でも結構ね透明な部品が作れるんだぜっていう印象ですね。
気になる方はぜひ、チャレンジしてみるといいんじゃないかなと思います。
ちなみにSK本舗さんの水洗いレジンがクリアで
かなり造形も簡単だし細かいところまでちゃんと造形できるのですごい!
染めたりグラデーションにすると超いい感じに仕上がるので
自分もお気に入りで使ってます。
【初心者必見】水洗いレジンのノウハウすべて無料公開! 造形編
造形後の後処理
本当にこの工程が大変だった!
お気づきの方もいると思うんですけど、めちゃくちゃ磨き上げないといけない。
プリントしただけだとまだまだ透明感は足りない。
糸引きのケバケバもついてるので
水研ぎで落としていって磨き上げていくっていう感じですね。
自分はちっちゃい耐水ペーパーを使ってる。
240番からしかないのでひたすら磨きまくる。
超大変ですね。
普通に1時間はかかってないけど、30分以上は磨きました。
磨き方としては、1500番までは普通に磨き上げて、
結構綺麗になってきたら縦横のあとに円を描くように磨き上げました。
1500番まで磨いた状態がこういう感じ。
拭き上げるて乾燥しちゃうと結構白い。
水につけた状態だとかなり透明感高かったです。
ここからコンパウンドで最後仕上げ磨いていきます。
使ってない布マスクを今回は使って磨きました。
ひたすら磨き上げる。こんな感じに仕上がりました。
まだちょっと白っぽいんですけど最初と比べるとだいぶ透明感ありますね。
この状態から普通はトップコートしてめちゃくちゃねクリアな作品をつくります。
今回めんどくさいんでオイルフィニッシュです。
オリーブオイルとかですね。
塗料の場合もオリーブオイルも表面の細かい傷を塗料で埋めることによって
超滑らかにして透明にするって感じですね。
塗ったところ、いきなり透明感が変わります。
ベタつきとかが気になる人は塗料で処理してあげてください。
その際には厚塗りで仕上げてあげるとよりきれいに仕上がります。
オイルフィニッシュでも結構いい感じの透明感出せるので結構おすすめです。
はいというところで今日はこの辺にしておきましょう。
少しでも参考になることがあったら是非試していただけたら嬉しいです!
じゃあまたー
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